患者の来院プロセスを見える化し、課題を洗い出すフレームワーク
消費者の購買プロセスを考える際に、マーケティング戦略としては良く、AISAS(アイサス)/AISCEAS(アイシーズ・アイセアス)といったフレームワークや、それぞれのフェーズにおける戦略設計を考えるカスタマージャーニーマップというものが使われます。
歯科医院の場合、一般的な購買プロセスとは若干違ったプロセスをたどるため、このフレームワークがそのまま使えるとは限りませんが、歯科医院にも十分応用できるフレームワークかと思います。
そこで今回は、それぞれのフレームワークの概要と、歯科医院のマーケティングにおける応用について考えてみたいと思います。
AISAS(アイサス)/AISCEAS(アイシーズ・アイセアス)とは
AISAS(アイサス)/AISCEAS(アイシーズ・アイセアス)とは、消費者の行動パターンをプロセスごとに分けてパターン化した考え方です。
主にマーケティング戦略を立案する際に活用されるフレームワークで、購買行動モデルを理解することで、消費者のニーズを把握することができます。
AISAS(アイサス)
2004年に電通によって提唱されたマーケティング理論
Attention(注意)・Interest(興味)・Search(検索)・Action(行動)・Share(共有)各ステップから構成されています。
AISCEAS(アイシーズ・アイセアス)
2005年にアンヴィコミュニケーションズによって提唱されたマーケティング理論
Attention(注意)・Interest(興味)・Search(検索)・Comparison(比較)・Examination(検討)・Action(行動)・Share(共有)各ステップから構成されています。
歯科医院マーケティングへの応用
歯科医院でのマーケティングを考えた場合、AISAS(AISCEAS)理論は、新規開業医院の場合と既存医院の場合で、特に「Attention(気づき)」「Interest(興味)」の部分で大きく異なるかと思います。
新規開業医院の場合
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Attention
気づき- 歯科医院の存在に気付く
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⇒ここに新しく歯科医院が出来るんだ
⇒あそこに歯科医院が出来たんだ
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Interest
興味- 歯科医院への興味
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⇒どんな歯科医院が出来るんだろう
⇒内覧会もやるらしい
⇒キレイだし駐車場もあって通いやすそう
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Search
検索- 医院情報の検索
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⇒内覧会はいつやるのだろう
⇒内覧会はどんなイベントをするんだろう
⇒子供連れで参加してもよいのだろうか
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Action
行動- 内覧会に行ってみる
- ⇒キレイで雰囲気もいい感じ!
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Share
共有- 内覧会に行ってみる
- ⇒あそこの歯科医院の内覧会行ってきたよ!と共有
既存医院の場合
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Attention
気づき- 悩み・症状の自覚(問題認識)
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⇒歯が痛い
⇒歯の汚れ、黄ばみが気になる
⇒銀歯の見た目が気になる
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Interest
興味- 問題解決への興味(ニーズからウォンツへ)
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⇒むし歯かどうかチェックしたい
⇒歯の痛みを和らげたい
⇒歯をキレイにしたい
⇒銀歯を白い歯に変えたい
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Search
検索- 問題解決のための情報収集
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⇒なるべく痛くない治療がいい
⇒最新のむし歯治療って何?
⇒歯のホワイトニングってどんな種類がある?どこで施術してもらえる?
⇒白い歯の種類ってどんな種類がある?
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Comparison/Examination
比較/検討- 医院選びのための情報収集
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⇒技術の高い医院は?
⇒設備の整っている医院が良い
⇒親身に相談に乗ってくれる医院は?
⇒なるべく近くの通いやすい医院が良い
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Action
行動- ご予約・来院
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⇒WEB予約/LINE予約
⇒電話での予約
⇒無料相談/無料カウンセリング
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Share
共有- 口コミ、紹介
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⇒あの歯医者さん、治療も痛くなくて良かったよ。
⇒ホワイトニングで歯が白くなったよ!
「こだわり」が強いほど、情報収集の量は多くなる
一般的には、その患者さんの歯に対する「こだわり」「事前の知識量」「治療のリスク」が高いほど、情報収集に時間をかける傾向があります。
例えば、インプラント治療を検討されている患者さんの場合、歯科医院選びに失敗すると身体的なリスクや金銭的なリスクを負ってしまうため、リスクを下げるために十分な情報収集を行います。
逆に特にこだわりが無い場合や十分な知識がある場合、自分の記憶の中の探索(内部探索)だけで済ませてしまう場合もあります。
こだわり(小)
歯に対する関心の低い場合や、すでに歯科医院に対して十分な知識がある場合、あまり時間をかけずに歯科医院を決定します。
例
保険治療であれば、どこの歯科医院でも大体同じだろう
この前行った歯医者で特に問題なかったから、今回も同じ歯科医院に行こう。
こだわり(中)
歯医者選びに強いこだわりがあるわけではないけど適当に選ぶわけにもいかない場合などは、限られた時間でそれなりの情報収集を行います。
例
治療は保険で十分だけど、子供が泣かない、子供に慣れている歯科医院がいい
ちゃんと話を聞いてくれて、説明してくれる歯科医院がいい
こだわり(大)
高リスクの治療を検討している場合や、事前の知識が不足している場合は、十分に時間と労力をかけて情報収集を行います。
例
インプラントにしたいけど手術が怖いので、安全面が万全な歯科医院を選びたいインプラントの価格がなぜこんなに違うのか解らない。安すぎるのも心配だけど、損をしたくない。
誰が言っているか」で信頼度が異なる
自分の記憶の中の探索(内部探索)だけでは情報が不十分だった場合、友人や知人、インターネットなど外部から情報を収集します。
4つの情報源
【個人的情報源】信頼性:高
個人的なつながりがある人物からの情報(ネットコミュニティ含む)
家族や友人知人の口コミ、SNSの書き込みなど
【商業的情報源】信頼性:低~中
売り手が用意した情報
ホームページ、広告チラシ、スタッフ、パッケージや店頭ディスプレイなど
【公共的情報源】信頼性:中~高
売り手ではない第三者が発信する情報
マスメディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)、公共性の高いレビューサイト(Google口コミ)など
【経験的情報源】信頼性:高
消費者本人の経験による情報
試供品、内覧会、イベント体験など
一般的には、ホームページは「商業的情報源」に分類されますが、歯科医院の場合、医療機関としての公共性の高さから、「公共的情報源」の側面も持ち合わせていると考えられます。
また、スタッフや歯科医師からの情報は、通院歴が長くコミュニケーションのしっかりとれている患者にとっては、「個人的情報源」として捉えられるでしょう。
情報の信頼度を上げるには
情報の信頼度を上げるには、
・なるべく商業的な要素を下げ、
・患者さんの価値観に合わせた情報を
・中立公平な立場で
発信することが重要です。
過度にSEO対策を意識しすぎた文章(地域名など)は商業的なイメージを与えてしまうため、注意が必要です。
カスタマージャーニーマップを作成しよう
カスタマージャーニーマップとは、患者さまの購買行動を時系列に「見える化」した表です。
患者さまが歯科医院を決めるにあたってどのような意思決定をし、何を考えて来院に至っているのかを網羅的に俯瞰できるため、改善策が見えてきやすくなります。
カスタマージャーニーマップ作成例
カスタマージャーニーマップを作成することで、それぞれの施策の「目的」を明確にすることが出来ます。
例えば、「ブログを書く」という施策一つとっても、患者教育(知識向上)のためなのか、集患(医院ブランドの訴求)のためなのか、リピート獲得(患者さんのファン化)のためなのかによって、書く内容も大きく変わってくるでしょう。
目的もなく、「ただ書いた方が良いと言われたから書いている」状態では、なかなか成果も上がりません。
「どういう患者さまに、どういう気持ちになってもらい、どんなアクションを起こしてもらいたいから、この施策をする」ということを、スタッフ全員で共有したうえでプロジェクトを進めることで、無駄やブレの無い効率的な施策を打つことが出来ます。
集患でお悩みの方は、まずは一度ご相談ください。
セグナ株式会社:https://segna.jp/
電話:03-4405-6909
FAX:050-3730-9546
住所:〒107-0062 東京都港区南青山2-2-15 ウィン青山1214号