「EPARKからの患者は質が悪い」を独自分析してみる

      2024/11/12

歯科医院を開業している先生方であれば、おそらくご存じであろう、業界最大手の「EPARK歯科」。
2024年現在、約1万件の歯科医院がWEB予約システムを契約掲載しており、全国平均シェア率は約15%にも上るそうです。

そんな知名度と営業力の高い会社ですので、先生方からEPARKとの契約についてご相談を受けることが多々あります。
その中で先生方からよく聞くのが

「EPARK経由の患者は無断キャンセルが多く質が悪い」

というものです。
そこで今回は、「EPARK経由の患者は本当に質が悪いのか?」について少し詳しく深堀してみたいと思います。

この記事は、EPARKとの契約を推奨するものではありません。
当社では、基本的に契約期間の縛りのあるサービスは、特にWEB関係など技術の進歩が急速で移り変わりの激しい分野においてはなるべく控えた方が良い、とアドバイスをさせていただいております。

 

そもそも「質が悪い患者」とは、どんな患者さん?

先生に、「質が悪い患者」について具体的にはどんな患者さんかをお伺いすると、主に下記のようなお答えが多く返ってきます。

  • 無断キャンセルをする
  • 通院の優先度が低いため、仕事や他の用事が入るとすぐキャンセルをする
  • 自分やスタッフに対してのリスペクトが無い
  • 自費治療の患者さんが質が良いというわけではない。
  • 保険治療の患者さんでも、約束を守ってくれて、言うことを聞いてくれて、一所懸命に治そうと努力してくれる患者さんは良い患者さん。

まとめると、
「歯に対する関心が低く、治療に対しての理解度や、医院に対してのリスペクトが低い患者」を「質が悪い」と表現しているように思います。

では、そんな「質が低い患者」が集まる媒体というのはあるのでしょうか?

 

商品の理解度や重要度によって、購買行動は異なる

歯科のホームページ制作、セグナ株式会社

購買行動とは、消費者が商品やサービスを購入する際に取る行動や心理を指します。
そしてこの購買行動は、消費者のサービスに対する「こだわり」や「理解度」によって異なります。
「患者の質」というものが、歯の健康への関心や医院への理解度によって異なると仮定するなら、この消費者の購買行動を分析することで、患者の質もコントロールできるのではないでしょうか。

 

アサエルの購買行動類型

アサエルの購買行動類型とは、アメリカの消費者行動研究者"ヘンリー・アサエル"氏が提唱した購買行動の分類です。
消費者の購買行動を「サービスの重要性・必要性(こだわり、思い入れ)」と「ブランド間の知覚差異(ブランドの違いを認知している)」という2つの要素で分類すると、以下の4つに分類される、というものです。

横軸:サービスの重要性・必要性(こだわり、思い入れ)
歯の健康への関心、こだわり、歯科治療やメインナンスを自分によって重要と感じているかどうか

縦軸:ブランド間の知覚差異(ブランドの違いを認知している)
それぞれの歯科医院の特徴の違いを認知しているかどうか

 

4つのタイプの傾向と対策

習慣的購買行動

歯科のホームページ制作、セグナ株式会社

歯に対しての意識が低く、歯科医院はどこも同じだろうと認識しているタイプです。
特にこだわりが無いので、「近くだから」「遅くまで診療しているから」「予約しやすいから」といった利便性で歯科医院を選ぶ傾向があります。
歯に対する意識は高くないのでメンテナンスにはつながりにくいかもしれませんが、歯科医院選びにこだわりもなく情報探索にあまり労力を使わないため、一度選んでもらえれば次回歯に不具合が起きた際もまた来院してくれることが期待できます。

特徴

  • いつも買っている、最初に目についた、ブランドネームを知っているなどの理由で購買することが多い
  • 塩、トイレットペーパー、ティッシュペーパーなど、低価格の日用品などでよくみられる購買行動タイプ
  • 購入理由が「目についたから」「いつも買っているから」「特売していたから」という理由で、こだわりはない
  • 価格の安さ、手軽さ、アクセスの良さ、診療時間などの利便性、お問い合わせのしやすさなどで選ばれやすい

 

不協和低減型購買行動

歯科のホームページ制作、セグナ株式会社

歯に対しての意識は高く、歯科医院選びは重要だとは感じているものの、歯科医院ごとの違いが解らず、いろいろ探してみたり検討してみたりするものの結局どの歯科医院が自分に合っているのかよくわからなくなってしまい、最終的には価格や利便性を重視して選びがちなカテゴリです。
歯への意識・こだわりは高いものの、歯科医院ごとの違いの把握が出来ていないため、自分の選択が正しいという信念を持つことが難しく、診療を受けた後で「この歯科医院でこのまま治療をすすめて大丈夫だろうか」「もっと安くて自分に合った治療法があるかもしれない」といった不安や迷いを感じやすくなります。
そのため、診療後の不安を払しょくさせるためのアフターフォローが重要になります。

特徴

  • 必要性や重要度は高いと感じているものの、ブランド間の違いが分かりにくい場合の購買行動
  • 家具や白物家電(冷蔵庫や炊飯器)などがこのタイプに当たる。
  • 複数の医院を比較はするが、来院の意思決定が比較的早いため、治療を受けた後に不満を持ったり、自院の良くない口コミや他院の良い評判を聞いたりして、本当にこの医院で良かったとかと不安や迷いを覚えることもある
  • 患者さんが自院選択に満足できるような信念や評価、情報を与える必要がある。
  • 治療後のサポート、コミュニケーションが重要

 

バラエティ・シーキング購買行動

歯科のホームページ制作、セグナ株式会社

サービスへの関心度、こだわりは低いけれども、サービスの種類の違いを把握している場合、1つのサービスに固執せずに試し買いを繰り返すバラエティ・シーキング型の購買行動になりやすい傾向があります。
歯科の分野では、ホワイトニングやデンタルエステ、物販商品などが該当しがちです。
例えば、一般の歯科医院でのホワイトニングや、セルフホワイトニング、ホワイトニング専門店、市販しているホワイトニンググッツなど、いろいろな商品やサービスを試してみます。
前回提供したサービスに特に不満がなくても、新商品やキャンペーンなど、目新しさや話題性、バリエーションを求めてブランド・スイッチが行われるため、自社製品を愛用してくれるロイヤルユーザーになりにくく、マーケティング的には攻略困難なタイプといえます。

特徴

  • ブランドは認知していながらとくににこだわらず、いろいろ試してみたい、と思うような商品
  • 菓子類や飲料などの比較的低価格な製品がこのタイプに当たる
  • 歯科の分野では、ホワイトニングやデンタルエステなど、単発での施術や比較的通院期間が短い治療で良く見受けられる
  • 前回の施術に特に不満がなくても、新商品への興味や、キャンペーンを行っているなど、目新しさやバリエーションを求めてブランド・スイッチが行われる
  • 自社製品を愛用してくれるロイヤルユーザーになりにくいため、マーケティング的には攻略困難なタイプといえる。

 

複雑な購買行動

歯に対する意識が強く、歯科医院ごとの違いも認知しているタイプです。
どのような選択肢があるか綿密に比較検討し、結果的にもっとも自分の価値観とマッチした歯科医院を選択しようとします。
事前にしっかりと情報収取を行っているため、サービスを受けた後の不安や迷いは生じにくい傾向があります。
2022年にGoogleが行ったマーケティング調査では、事前検索量が多いほど選んだ商品に対する「肯定度」が高まり、定期購入(リピート)につながりやすいというデータも出ています。

https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/consumer-insights/consumer-journey/shopper-research2022-3/

特徴

  • 高価で、専門的、高リスク、さらに自己表現に大きく関わる製品を買う場合、購買者はこの複雑な購買行動をとる
  • 自動車、パソコンなどがこのタイプに当たる
  • 消費者は慎重に情報収集を行う傾向にある
  • 歯科医院の場合、インプラントや矯正治療など、比較的高額な治療や、親知らずの抜歯など比較的高リスクの治療をする際に良く見受けられる購買行動。
  • 事前にしっかり情報収集を行うため、治療後の満足度も他のタイプの購買行動タイプに比べて高い傾向がある。

 

タイプ別 集客に必要な情報・対策

歯科のホームページ制作、セグナ株式会社

 

EPARKのWeb集客戦略

EPARKのビジネスモデルとしては、現在は月額定量性のシステムになったようですが、もともとは「集客(送客)数」に応じて課金されるシステムのようでしたので、WEB戦略としては、最小限のコスト(コンテンツ情報量)で最大限の集客数(利益)を確保することがカギとなるかと思います。
そしてそのために狙うべきターゲット層としては「習慣的購買行動タイプ」「不協和低減型購買行動タイプ」へのアプローチがが最適であると思います。
実際にEPARKのサイト設計をみると、下記のような利便性での比較をメインにサイト設計をされているのが良くわかります。

ネット予約

空き状況

診療曜日/診療時間

口コミ件数

EPARKの医院検索画面

 

EPARKのサイトはSEOも強いため、ネット上でも目につきやすく、狙っているターゲット層を確実に集客して送客するという優れたWEB戦略を実践されていると思います。

 

「患者の質が悪い=媒体の質が悪い」ではない

「患者の質が悪い」というご意見に関しては、「そもそもそういう層をターゲットとしている」という風にも言えるのではと思います。
しかしながら、そういう患者層でも対応可能、受け入れ可能な歯科医院にとっては、多くの患者を送客してくれる非常に有益な媒体でもありますので「患者の質が悪い=媒体の質が悪い」ということでは決してないと思います。
自院の状況や環境に合った媒体をチョイスすることが重要です。

歯科のホームページ制作、セグナ株式会社

 

集客の柱は多いほど、集客は安定する

歯科のホームページ制作、セグナ株式会社

媒体は一つに絞る必要はなく、むしろ多ければ多いほど、集客は安定します。
それぞれの媒体ごとに集客の難易度も異なりますので、自院にとって必要な集客媒体を戦略的に選択することが大切です。
まずは集客にどのぐらいのコスト(労力)をかけることが出来るのか、そしてそのコストをどの媒体にどのぐらい振り分けるのが最も効果的か、医院の状況や環境、目標と照らし合わせながら予算配分していくのが良いでしょう。
また、医院の成長に合わせて、各媒体にかける予算配分を見直し調整していくことも大切です。

 

まとめ

EPARKに関しては先生方からいろいろなお声やご意見も聞きますが、会社としての姿勢や方針はともかく、あくまでWEB戦略という観点でのみ見た場合、非常に優れたサイトであると思います。
また、月額課金制になってからは公式サイトへのリンクも掲載可能となったようですので、SEOの強いEPARKのサイトから医院公式サイトへリンクを貰うことで、公式サイトのSEOも強化されることも期待できます。
一方で、医院にファン化した患者さんや、自費治療の患者さんの集客にはあまり向いていない媒体であるとも言えるかと思います。
どんなツール、媒体にも、得意分野、苦手分野がありますので、それらのツールを上手に組み合わせながら自医院に合ったマーケティング戦略を構築することが重要です。

当社では、WEBサイト制作を中心にWEB戦略のご相談も受け付けております。
集客でお悩みのことがあれば、是非お気軽にお問合せください。

 



セグナ株式会社:https://segna.jp/

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